トライアスロンでは水泳パートのことを「スイム」と言います。
その後の自転車・マラソンへと続く競技の序章であるかのように、本来の「スイミング」を短縮しあえて慌ただしい雰囲気で「スイム」と言っているのではないでしょうか。
三種目のスポーツを一連の動作でこなすためには、まだまだ大変な競技が残っているのだから「余力」を残しておかなければなりません。
そのためには選手それぞれが色んな工夫をしていますし、どのパートが得意なのかによってもその作戦は変わることでしょう。
だから、ただ単に「きれい」で「速い」水泳をすればいいのではなく、その後の競技へと繋げるために水泳ではなく『スイム』というトライアスロン独自の競技と考えるべきでしょう。
スイムの練習はどこで行うの?
水泳の練習と言えば当然プールしか思い浮かびませんよね。
もちろん全てのトライアスロン選手たちはプールで練習しています。
トライアスロンの大会は海で行うのだから海で練習しているのでは?と思うかもしれませんが、恐らくほとんどの選手は95%くらいをプールで練習しています。
もちろんプールで泳ぐ時と、海で泳ぐ時は様々な面で違うことが起きますし、それなりの対策も当然必要です。
とはいえ、そんなに頻繁に海に行ける環境の人は少ないでしょうし、プールでウエットスーツを着用できる場所などほとんどありません。
だから、我々トライアスリートは基本的にプールで練習しているのが現状です。
皆さんの町にも市民プールなどがあると思いますし、プール付きのスポーツジムであればそのプールを使うのがいいでしょう。
スイム練習時に必要なものは?
先ほども説明したようにトライアスロンのスイム練習は基本的にプールで行いますので、「プールで使えるもの」しか使いません。
なので基本は水着・キャップ・ゴーグル、これだけです。
でも、もちろんタオルや曇り止め・水分などは必要に応じて忘れないようにしてください。
また、練習の一環としてビート板やプルブイ・パドルなどを使うこともあるでしょうが、それらはプールごとの規定を守って使用してください。
1回でどのくらい泳ぐべき?
水泳パートの練習量は人それぞれだとは思いますが、トライアスロンの大会では一部を除き最低でも1,500メートルを泳ぎます。
だから、25メートルや50メートルの練習ばかりを繰り返すだけではいけないということはお分りでしょう。
時には500メートルとか1,000メートルとかを、続けて泳ぐ練習も必要です。
フルマラソンを完走するためには、毎日同じ距離ばかりを走っていては長い距離を走りきることは出来ません。
それと同じように、水泳の練習もその都度メニューを変えながら短い距離に終わる日もあれば、ひたすら長い距離を泳ぐ日もあります。
ただ、トライアスロン仲間から聞くと1回(1日)の練習量は、やはり最低でも1,000から1,500メートルくらいは泳いでいるようですね。
スイムを早くするための練習とは?
水泳のスピード強化は長く泳ぐことよりも難しいです。
長い距離を泳ぐには練習量を増やせば、いつかは出来るようにのなるものです。
でも、スピードを付けるにはやはりきちんとした練習が必要ですし、段階を踏んで自分の「くせ」を根気強く直していかなければなりません。
恐らく「全く泳げない状態」から「泳げる状態」になるまでは意外と簡単だったと思います。
しかし、泳げるようになってからスピードが速くなるには色んな事を試したと思いますし、色んな方からアドバイスをもらったのかもしれません。
むしろ、速くなるにはとても時間が掛かったことでしょう。
水泳が速い人がよく言うのは、速くなるためには「手のプッシュ」と「バタ足」をしっかりすれば速くなると言います。
しかし、トライアスロンは自転車もマラソンも足を酷使する競技なので、出来る限りスイムでは足を使いたくありません。
だから優勝やタイムを気にする選手以外の「まずは完走」を目指す方は、腕だけで水泳を泳ぎ切るくらいの気持ちが必要でしょう。
人間の体は足を動かせば動かすほど酸素を必要としますので、その分あっという間に息が上がり長い距離など泳ぐことは出来なくなります。
ただ、実際にはバランスを取ったりするために自然と足は動いてしまいますので、全く動かさない訳にもいきません。
だから「トライアスロンのスイム」を速くするためには、結局のところ足を温存して腕だけで泳ぐ覚悟が必要と言えるのではないでしょうか。
腕の動きで一番重要なのは、手を後ろに押し出した時に「体を前に運ぶ」感覚が必要です。
手を後ろに押す時には「水を押す」行為が「自分の体を前進」させることに繋がるということを意識しなければなりません。
それが出来ると、自分の体かが水の中なのに「スーッ」と前進している感覚を味わうことが出来ます。
この感覚は結構気持ちいいものです。
他にも体を一直線にして水の抵抗を減らしたり、手の入水位置や、水をつかむ「プル」の感覚など細かい矯正も必要になります。
ですが、その辺は誰かに見てもらわないと解りにくい問題です。
ですからいかに手で水を押して、その結果で体が前に進むという意識をしっかり持つことが重要でしょう。
まとめ
マラソンは気軽に走り出すことは誰にでも出来るでしょうが、水泳は気軽に泳ぎ始めることさえ出来ない人が沢山います。
だから「泳げるようになる」までが大変ですが、いざ泳げるようになるとその後はトントン拍子で長い距離を泳げるようになるものなのかもしれません。
それに比べるとマラソンは誰でも短い距離は走れるけど、長い距離を走れるようになるには結構時間が掛かります。
だから今現在泳げないという人、子供の頃は泳げたという人もまずは最初の一歩を始める勇気が出せれば、私のように「あの時は大変だったなぁ」なんて言える日が来るかもしれません。
どの競技も速くなるのは、なかなか大変です。それ相応の努力が必要となります。
でも、始める前から「自分には無理だ」なんて絶対に思わないでください。
むしろ「本気になれば簡単だよ」というくらいの自信を持って臨めば、最初の頃の苦労や努力は必ず報われる日が来るでしょう。